ウイグル民族は永い歴史の中で独自の文化を築き上げてきました。
ウイグル人は昔から印刷技術を習得し書物を遺してきた民族です。テュルク的イスラム文化の先駆であり、偉大な作品としては、11世紀にカラハンチョウカシュガルの宮廷に仕えたユスフ・ハス・ハジブがテュルク語で著した長詩「クタドグ・ビリク(幸福になるための知恵)」、カシュガル生まれのマフムード・カシュガリーがセルジュークチョウのバグダードで編纂した「テュルク語大辞典」があります。
ウイグル人は11世紀から12世紀において、洗練された民族衣装を考案しています。伝統織物「アトラス」や、独特な文様の絨毯、伝統的な帽子ドッパなど、服飾や工芸、建築などにおいてウイグル人は個性的で特殊な技術をもっています。
伝統的な楽器も多く、様々な歌や踊りと楽器を組み合わせた民族的なオーケストラ「ウイグル12ムカム」は2005年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。
ウイグル人はイスラム教徒であることから食生活に宗教が大きく影響しています。イスラム教徒の義務として豚肉を食べることは禁じられています。
代表的な民族料理は、日常食であり三蔵法師も旅に携帯していたと言われる「ナン」、炒めたヒツジ肉と人参のウイグル風ピラフ「ポロ」、手延べうどん「ラグマン」、日本ではシシカバブの名で知られるヒツジ肉の串焼き「カワプ」。ウイグルには古くから「トゥギレ」や「サムサ」といった皮で包んだ餃子や肉饅頭の料理があり、トルファンのアスターナ遺跡で餃子の化石が発掘されていることから、ウイグル地域が餃子の起源であるという説もあります。
またウイグル人は医学にも精通していました。ウイグル医学はユーラシア大陸を横断するシルクロードの地で育まれた伝統医学で、古代ギリシアの哲学者アリストテレスの哲学に影響を受けていると言われています。